【アイドルのセカンドキャリア】芸能よりYouTuber?現役時代の実績もポイント

「生涯アイドル」と口にするのは簡単だが、アイドルとして天寿を全うするというのはほぼ不可能に近い。

松田聖子がそれに近い存在かも知れないが、極めて例外と言えるだろう。

「結婚して子供を産むまでがアイドル人生」と解釈すれば、アイドル活動を綺麗な形で終わって家庭に入るというケースは普通にある。

だが、結婚を抜きにすれば、大半の子は年齢的なピークや生活苦など様々な事情により、ある程度の時期で見切りをつけてアイドルを辞めなくてはいけない。

その際、一般の就職が叶わなかった、もしくは芸能界にまだ執着心がある場合、アイドルは無理としても少しでもエンタメに関係のある仕事を続けていくことになる。

 

このようなアイドルのセカンドキャリアとして、どのような選択肢があるのかは興味深いところ。

アイドル時代の経験やスキルを活かしやすい分野での具体的な仕事内容を、実際の成功例も踏まえながら考察。

 

なぜアイドルを卒業するのか?

アイドルのセカンドキャリアについて述べる前に、まず「アイドルを卒業する原因」について軽く触れてみたい。

結婚、もしくは一般企業への就職が決まった場合を除くと、大体以下のような理由でアイドル活動の継続が困難になる場合が多くみられる。

  • 全く売れないまま、年齢的なピークを迎えた
  • それなりに売れているが、年齢的なピークを過ぎ、人気が低迷してきた
  • 将来に対する漠然とした不安
  • 経済的困窮
  • ケガ、体調不良(精神的な疾患を含む)
  • 家庭の事情(親の反対を含む)
  • 彼氏バレ
  • セクハラ、ストーカー事案などの性的トラブル
  • 運営および所属事務所とのトラブル
  • 業界内での人間関係の悪化

 

年齢による壁

上記の一覧を見てまず分かるのは、やはり「年齢による壁」はアイドルという職業の性質上、非常に厳しいハンデになるということだ。どの理由にも多かれ少なかれ、年齢的な問題が絡んでくる。

体調や身体能力の維持にしても歳を重ねるごとに衰えを感じざるを得ないし、人間関係もそうだが、若い頃に我慢できていたこと、無知ゆえに見逃していたことが大人になればなるほど自尊心も肥大し、許容範囲を超えてしまうのだ。

家庭の事情も例外ではない。アイドルがオバサンになっていくのと同じように家族も老化していくわけで、介護の問題も出てくる。

大前提として、ある程度若い年齢のうちに軌道に乗ることができなければ、そのままズルズルと売れない日々に突入してしまうし、ブレイクのタイミングを一旦見失ってしまうと人生迷子モードから這い上がるのは難しい。

 

カバー曲のみでライブ活動をしている地下アイドルには

「デビューから2年以内にオリ曲(オリジナル曲)をリリースできなければ卒業」

という業界内目安が存在する。

 

もちろん続けるのは本人の自由だが、地下にしろメジャーにしろ、デビュー2~3年目でどのように動いていくかは、息の長い活動ができるかどうかのひとつの分岐点となるだろう

 

卒業後もエンタメ・芸能活動を続けたい元アイドルたち

先ほど「結婚と就職を除く」と前置きしたが、(理想的な)結婚や(希望職種への)就職などによる引退はその時点で本人自身が「アイドルに未練のない状態」になっているので、アイドルに復帰することはまずないであろう。

もちろん

「就職したがすぐに離職した」

「結婚後に離婚し、アイドルへの復帰欲が出てきた」

というパターンもあり、実際にアイドル関係の仕事をしてきた筆者の周囲にもそのような子が大勢いる。

一度華やかな世界でスポットライトを浴びてしまうと、よほど納得のいく形で辞めない限りはアイドルの自分を引きずってしまう可能性もあるということだ。

年齢的にアイドルと呼ばれるには無理が生じてきた。結婚も就職も上手くいかなかった。家族や世間の目もある。

だがどうしてもエンタメの世界でしか生きていくことができない。諸々の事情を抱えた「元アイドル」達がセカンドキャリアを形成するにはどのような職種が最適なのか。それを今からいくつか挙げていきたい。

また、先ほどの一覧にもあったが、「全く売れずに辞める」のと「それなりに売れている子が辞める」のとでも意味合いが異なってくる。そのあたりにも言及する必要があるだろう。

 

バラエティーアイドル(バラドル)

アイドルも芸能界のジャンルの1つ。従って、年齢的にピークを過ぎたアイドルがタレントや女優など芸能界の他ジャンルにスライドしていくというのが、セカンドキャリアとしては最も現実的な選択肢だろう。

中でも比較的アイドルからの転向を図りやすいのがバラエティータレント。もちろん多少トークが面白い程度ではプロのお笑い芸人には太刀打ちできない。

ただ、女性であるというだけでTV番組の雛壇で華を添える役割が果たせることもあり、それなりの適応力があれば安定した仕事量を確保できる。

 

バラエティータレント転向で成功している著名元アイドル

アイドルからバラエティータレントへの転向組で三大成功例と言われるのが

  1. 指原莉乃
  2. 朝日奈央
  3. ファーストサマーウイカ

指原莉乃

指原莉乃は2010年頃からグループ内ではイジられキャラとしてポジションを確立していたが、そのバラエティー力がお茶の間に知れ渡ったきっかけがなんといっても「踊る!さんま御殿!!」

2011年から2013年にかけて2度の「踊るヒット賞」を獲得。アイドルとしては過去に類を見ないバラエティーでの勝負強さを発揮した。その後の活躍は説明するまでもない。

朝日奈央

朝日奈央はフジテレビ発のアイドルグループ「アイドリング!!!」で7年間活躍。TV局主導のグループということもあり、結成当初からバラエティーに比重を置いた育成方針を採用していたが、中でも対応力に優れていたのが彼女。

グループ卒業後の転機となったのは2017年4月。「ゴッドタン」で野呂佳代との共同MCに抜擢。更に2018年には「アッコにおまかせ!」の準レギュラーを獲得。現在、バラドルの頂点に君臨する指原莉乃を脅かす存在にまで成長した。

ファーストサマーウイカ

伝説のアイドル「BiS」(第1期)から「BILLIE IDLE®」へと渡り歩き、解散後一瞬でブレイクしたのがファーストサマーウイカ

2019年1月「女が女に怒る夜」への出演をきっかけにコテコテの関西弁と淀みないトークスキルで一般層からの注目度が急上昇。

「アウトデラックス」「踊る!さんま御殿!!」「ダウンタウンなう」を始めメジャー番組に次々と登板、遂には2020年1月「人志松本のすべらない話」でプロ芸人級の面白エピソードを披露し、業界にウイカ旋風を巻き起こした。

王林

この3強に迫る勢いでバラドルとしての地位を確立しつつあるのが青森県ご当地アイドル「りんご娘」のメンバー、王林。まだ一応現役アイドルだが、参考までに挙げておく。

170㎝という恵まれたスタイルと清楚な顔立ちからは想像もつかない、方言を生かしたダイナミックな天然キャラが一躍脚光を浴びることになったのは2018年7月、これまた「踊る!さんま御殿!!」での活躍ぶり。

2019年以降も「ダウンタウンDX」「秘密のケンミンSHOW」「アウトデラックス」などで立て続けに爪痕を残し、快進撃を続けている。

 

メジャートーク番組での印象が鍵

こうしてみると、やはり明石家さんまやダウンタウンなどが仕切っている特定のメジャーなトーク番組で印象的に立ち回ることが、アイドル引退後にバラエティー路線で戦っていくための必要条件と言えるだろう

基本的には現役アイドル時代に最低限の実績と知名度を保有している子が圧倒的に有利であり、全くの無名アイドルはどれだけトーク力があってもいきなりさんま御殿の雛壇を勝ち取るのは困難。

本人の実績もなく事務所規模も小さい、もしくはフリーの場合、素人モノマネ番組などのオーディションで一般人に混ざってのし上がっていくところからスタートしなければいけないハンデがあることは確かだ。

 

アイドルプロデュース・アイドル運営

自身がアイドルだった経験を生かし、引退後にアイドルをプロデュースする側に回る子もいる

「アイドルはアイドルの気持ちが分かる」

という理屈だ。

指原莉乃

代表的なところで言うと、こちらも先ほど登場した指原莉乃。代々木アニメーション学院との提携によるアイドルユニット「=LOVE」(イコールラブ)をプロデュースしている。

市井紗耶香

最近の注目は元モーニング娘。の市井紗耶香プロデュースによるデビューが予定されている新ユニット。

動画投稿アプリ「mysta」を使った視聴者投票など、リモート中心での審査システムはいち早くアフターコロナ時代に対応しており、その動向から目が離せない。

梅田えりか

元℃-uteの梅田えりかが育成担当として関わっているのが2019年の「平成ラストアイドルオーディション」で結成されたユニット「ハープスター」。

メンバー全員が160㎝以上とスマートな見栄えのユニットとなっており、自身も身長170㎝越えの梅田えりからしい現代的なセンスといえる。お披露目がモデルイベント「東京ガールズコレクション」だったのも方向性が明確だ。

更にこのユニットの制作チームには元「アイドリング!!!」の遠藤舞も所属。歌唱指導などを手掛けている。

沖田彩華

元NMB48の沖田彩華(1期生)も卒業翌年の2019年に新規アイドルユニット「Nextrigger」をプロデュース。

彼女自身が関西拠点ということで、デビュー当時から東京と大阪でのライブ及びプロモーションを並行しており、地方での活動も視野に入れた新しいセカンドキャリアモデルと言えるかもしれない。

高橋優里花

王道カワイイ系ユニット「いちごみるく色に染まりたい。」のプロデュースを仕掛けたのは元乙女新党の高橋優里花。

結成当初はプレイングマネージャーとして自身もステージに上っていたが、2017年11月に卒業。その後、運営業務に専念していた。(現在では芸能界から離れている)

秋山依里佳(あきやま えりか)

お笑い芸人「霜降り明星」粗品との焼肉デートが週刊誌に掲載され、一時期話題となった秋山依里佳は10代前半から関西のご当地アイドルとして各種ユニットやソロで活躍。現在もステージには立っているがアイドル的なポジションからはほぼ撤退。

関東での実績はほとんどないものの、関西ではその豊富な人脈とフットワークの軽さが評価されており、2019年からは現役JK2人組アイドル「依存退室。」のプロデュースをスタートさせている。

 

バラエティータレントより敷居は低い

先ほどのバラエティーアイドルと違い、ライブアイドルのプロデュースは「現場でのライブ運営ノウハウ」と「人材(メンバー)確保のルート」さえあれば比較的簡単に始めることが可能。

そのため、現役時代に全く実績がなくても業界での経験を土台として新規参入してくる元アイドルのプロデューサーは定期的に出現する。

「自分は引退するけど、同期で頑張っている中堅アイドルのスタッフに回ります」

というような子も多く、セカンドキャリアとしての門戸はそれなりに広い。

 

YouTuber

YouTuberは一般人でもコンテンツの内容と根気次第では広告収入のみで稼げるため、現役時代の実績の有無を問わずこのフィールドで再起を図ろうとするアイドルは急増している(この傾向はコロナ以前から顕著である)。

 

野呂佳代や西野未姫のように地上波バラエティーでも活躍しつつYouTubeに力を入れているパターンもあるが、YouTubeの自由度の高さを盾に地上波では放送不可能な内輪ネタなどを武器にしている子をここでは取り上げたい。

尾形春水

2020年の今熱いのが元モーニング娘。の尾形春水が開設しているチャンネル。

現在は一般の女子大生である彼女だが、アイドル時代の握手会エピソードや脱毛事情といったセンセーショナルな内容のトークは現役時代のファンからも賛否両論を呼んでいる。

2019年5月には

「そもそも尾形春水が本名やし、現役時代の影響力で売っていこうとするなと怒られる筋合いはない」

とアンチに真っ向から反論する動画を公開。

先ほどのファーストサマーウイカの例もそうなのだが、尾形春水も大阪府出身。何をするにしても「女性でネイティブな関西弁」のキャラを身につけている子はセカンドキャリア形成において相当有利なものがある。

京佳(元夢アド)

元「夢みるアドレセンス」(夢アド)の京佳はYouTubeでアイドル時代の給料明細を暴露。

更に兄と一緒にお風呂に入ろうとするドッキリや元カレとのエピソードなど、尾形春水に輪をかけた刺激の強さでアピールしていく動画が目立つ。

チャンネル登録者数も2020年6月末時点で尾形春水を上回っており、モー娘。のようにグループの存在を神格化しているファンが夢アドにはそれほどいないため炎上しにくいというのがYouTubeにおいて強味となっていることは間違いない。

熊崎優美

YouTuberとして成功したのちに「元アイドル」という肩書きが注目されるようになったのは、お馴染み「ヴァンゆん」のゆんこと、熊崎優美

2011年にSKE48オーディションに仮合格したものの正式加入は果たせず、2015年、彼女の地元・名古屋を拠点とするユニット「BSJプロジェクト」でアイドルデビュー。

父親が倒れ、家業を継がなかければならなくなりアイドルを断念したというのは有名な話である。

2017年にYouTubeチャンネルを開設し、現在チャンネル登録者数はヴァンゆんのメインチャンネルで約212万人、ゆんソロでのサブチャンネルが約75万人と、延べ合計300万人突破も狙える勢い。

地上波バラエティー番組で過去の経歴などを告白し、アイドル時代の実績が徐々に判明していったのだが、元アイドルというブランドに一切頼らずブレイクした点ではむしろレアなケースと言える。

片瀬美月

変わり種としては元「ぽすてぃこ」の片瀬美月。郵便ポストがコンセプトのアイドルユニットだったが、運営の失踪により解散。

元メンバーで一緒だった西村彩有里はその後お祭り系アイドル「はっぴっぴ」(現「JAPANARIZM」)に移籍、同じく元メンバーの石黒さくらもミスiDで賞を獲るなど活躍する一方、片瀬美月が選んだ道は「競艇YouTuber」

ジャンル自体がそれほどメジャーなものではないため、現時点でチャンネル登録者数が1万人に届いてない状況だが、競艇業界内ではかなり優良コンテンツとして評価されており、誰も踏み込んでいない領域を開拓していくというのもセカンドキャリアの戦略としては「あり」だろう。

 

まとめ

アイドル引退後のセカンドキャリアについて、現状ではどのような選択肢があるのかを紹介してきた。

本来、90年代ソロアイドル組のトップクラスだった中山美穂や斉藤由貴、2000年代初頭のアイドル界を支えた内田有紀や広末涼子、2010年代の上戸彩などの例があるように、年齢と共に「女優」業にスライドしていくのがアイドルにおけるセカンドキャリアの定番とされていた。

ところが現在はそもそもアイドルの数が増えすぎており、才能のある若手女優との椅子取りゲームも激化。前田敦子や大島優子といったアイドル界で頂点を極めた名前ですら苦戦しているのは誰もが知るところ。

そこに登場したYouTubeやTikTok、配信アプリといった全く新しい概念の娯楽提供プラットフォームはもはや活用できて当たり前という時代になっており、特にYouTubeはメディア露出の場を奪われたアイドルにとって救世主的な存在ではないだろうか。

アイドルとは決して可愛いだけの虚像ではなく、少なくとも我々一般人より遥かに業界知識と人脈を蓄えているのは確かなので、「アイドル経験有」というスキルはもっと社会で評価されるべき項目であると個人的には思っている。