山口真帆さん暴行事件で存続の危機に?!【NGT48の現在】を分析

NGT48は現在、国内で活躍している48系の主要6グループ(AKBSKENMBHKT・NGT・STU)の中で、唯一チーム制度が廃止されている。

運営の真意こそ明かされていないが、2018年12月に起こった山口真帆さん暴行事件以降、崩壊寸前だったグループ内の秩序を立て直すため再編成を図ったというのも理由のひとつには違いない。

その後、事件の影響によるイメージの悪化や仕事量の減少などがきっかけで卒業したメンバーも多く、在籍人数がかなり減少しており、チーム制の復活は依然として困難な状況だ。

この事件に関して全ての経緯を解説してしまうと今回の記事の主旨から外れるので軽く触れる程度にしておくが、NGT48そのものの存続を左右するターニングポイントの出来事であったのは確か。

現役アイドルがファンに襲撃されるというあまりにもショッキングな事件だったため、NGT48の現状を考察する際、どうしても感情論による意見が先走りがちで、

「アイドルグループとしての戦力分析」

を冷静に述べている記事が少ない。

今回の記事では、あくまでも現時点での体制と今後の課題を中心に、グループの勢いを取り戻すためのキーパーソンとなるメンバーについても取り上げていきたい。

 

チーム内人間関係のおさらい

山口真帆さん暴行事件の背景にはグループ内での対立の構図が存在していた。

被害者である山口さん本人及び、彼女と友好的な関係にあったメンバーである菅原りこ・長谷川玲奈・村雲颯香の計4名。彼女達は「山口派」と呼ばれている。

暴行事件の加害者と繋がりがあったとされ、山口さんとも敵対していた2人と、それに同調する数名のメンバーがいわゆる「反山口派」(と言われている)。

一般的には、事件直後から翌年3月の第三者委員会による報告書発表会見までの間に山口さんからSNSのフォローを外されたメンバーがこの反山口派に該当する。

事件発生から約半年後の2018年5月、村雲颯香さんを除く山口派の3名が卒業を発表。少なくともこの時点で反山口派の主張が通ったことになった(後に村雲颯香も卒業発表)。

また、反山口派には全国区でも抜群の知名度を誇り、グループの広告塔的な役割でもあった2人が含まれていた(と言われている)というのも重要な点である。

 

アイドルの本業はあくまでも劇場のパフォーマンスであったりTV番組で明るく振る舞うことであると考えた時に、「円滑なダンスを実現するチームワーク」や「個々のキャラクター性」というのは欠かせない要素。

今回は公平性を保つため、どちらか片方の派閥を擁護することは極力避けるが、山口派のみならずグループに失望して卒業していったメンバー達にはそれぞれ歌やダンスなどの才能やユニークな個性があったことは事実であり、それを損失したダメージは大きい。

山口真帆さんは2019年5月19日NGT48を卒業し5月25日芸能事務所「研音」に移籍。その後2020年10月現在では初写真集を出版したり、初舞台『走れメロス〜文豪たちの青春〜』に挑戦、そして日本テレビ系でドラマ初出演するなど活躍している。

 

散々ネットで叩かれてしまった反山口派(と言われている)にしても、後ろ向きになっている時間はなく、辞めたメンバーの才能や個性を埋めるだけの活躍をしなければいけないのが残ったメンバーとしての責務である。

アイドルグループとしての現状を語る上で、「どのような対立があって誰が卒業し、現在どういうキャラクターがチームに欠けているのか」という客観的事実だけ把握しておいてもらいたい。

 

「がたフレ」終了で失われる個性発揮の場

山口さん暴行事件によってどのメンバーが精神的にどれほど傷ついたかという主観的な判断を一切抜きにして、「仕事面での被害」に的を絞って考えた場合、グループとしてはかなり危機的状況であると言わざるを得ない。

大打撃だった冠番組の終了

2019年3月、事件の余波を受け、地元での冠番組「NGT48のにいがったフレンド!」(がたフレ)が放送終了。同時にラジオ番組など数本のレギュラーが一瞬にして消滅したのだが、特にお笑い芸人ロッチとのユーモラスな絡みでメンバーの知られざる個性を知るきっかけとなっていた「がたフレ」の終了はあまりにも痛いところだ。

例えば中村歩加(1期生)。番組内でのロケ中、コカド(ロッチ)が乃木坂46秋元真夏ファンであることをカミングアウトしたのだが、NGTの番組なのに自分達より売れてるグループのメンバーの名前を出された悔しさと嫉妬から「乃木坂さんはガチじゃん」(ガチで好きってことじゃん)と泣き出したのが乃木坂ファンの間で話題に。

次の選挙では中村歩加に投票する、という乃木坂ファンも現れ、2018年の総選挙では前年まで2年連続で圏外だったのが64位までアップした。実際に乃木坂ファンが投票したかどうかは別として、番組での発言が拾われネットで拡散したのは相当の知名度アップに繋がっただろう。

 

NGT48歴代センター
◆2017年
01 青春時計中井りか
02 世界はどこまで青空なのか?荻野由佳
◆2018年
03 春はどこから来るのか?本間日陽
04 世界の人へ荻野由佳
◆2020年
05 シャーベットピンク藤崎未夢

3rdシングル「春はどこから来るのか?」で中井りか(1期生)荻野由佳(1期生)に続く3代目センターを務めた本間日陽は「名は体を表す」の言葉通り、番組でも常に天真爛漫な笑顔を絶やさず癒し役として牽引。

新潟大学の学生寮で自炊する企画でのメンバーに向かって呼びかけた「ご飯炊けたよ~!」のセリフが天使のようにピュアな可愛さで、番組史上に残る名言としてファンの間でも伝説に。

2017年の総選挙では圏外から13位へと大躍進、2018年の総選挙でも16位をキープし2年連続の選抜入りを果たしたのはこの番組での活躍ぶりも追い風になったと言っていい。

 

2020年7月22日リリースの1年9ヶ月ぶりとなるシングル「シャーベットピンク」で研究生にして異例のセンターに抜擢された藤崎未夢の特技は「キャンプ」。

両親の影響で幼少期からキャンプに親しんでいた彼女はダッチオーブンを自在に使いこなすベテランキャンパーで、最近はアウトドア情報サイトでの連載もスタートさせた。

これも番組でのバーベキューロケ参加がきっかけで、ファン以外の層にも広く彼女の魅力が認知された感はある。

 

新たな自己発信メディア開拓が課題か

以上のように、がたフレによって発掘された各メンバーの個性は枚挙にいとまがないのだが、まだ知名度の低いメンバーや近い将来加入してくるであろう研究生にとって、自分をアピールできるメディアが奪われた痛手は今後の活動にも悪影響を及ぼしかねない。

 

現在NGT48公式のYouTubeチャンネル登録者数は約8万7千人と決して発信力があるとは言えず、TikTokも荻野由佳などが個人アカウントを開設しているものの、グループとしては研究生のアカウントのみ。

乃木坂46のような専用のサブスク配信サービスも存在せず、地上波・ネット共に発信手段が閉ざされている状態。

終了してしまった冠番組の代わりとなる自己発信メディアの新規開拓が緊急の課題と言えるだろう。

 

事件に巻き込まれて卒業したメンバーの穴埋めは?

山口派の1期生3人(菅原りこ・長谷川玲奈・村雲颯香)もロケ企画での異彩を放つ言動やロッチの鋭いツッコミにより、唯一無二のキャラクターがファンの間で定着。この番組の恩恵を受けたメンバーである。

個性派揃いだった1期生

菅原りこは丁寧で物腰の柔らかい喋り方に特徴があり、品行方正な人柄で人気だった元SKE48の秦佐和子を思わせる空気感。

番組内の野外ロケ中における「横断歩道を渡るのが好き」「雨と会話ができる」などのぶっ飛んだ発言や、体を使ったロケでもワンテンポずれた動きを見せる天然キャラで毎回のように爪跡を残し、番組の名物メンバーとして定着。

 

長谷川玲奈は中学時代ソフトボール部を経験。熱心な野球好きとしても知られ、2016年9月には東京ドームの始球式で大谷翔平と対決。ノーバウンドでのストライクを投げ、身体能力の高さには定評があった。

番組ではロッチ中岡の背中をバッティング並みのスイングで叩いて笑いを取りにいったり、ボクシングでのミット打ち企画にも積極的に挑戦するなど、その才能を余すところなく視聴者にアピールし、番組の盛り上げに貢献。

 

村雲颯香は番組でのグルメロケで「大食い」という新たな一面を発揮し、麺類を豪快にすする姿に「ダイソン」の異名がつけられるほど。

清司麗菜・日下部愛菜の2人とは特に仲が良く、テンションの高い村雲颯香を清司麗菜が冷ややかに見守り、日下部愛菜がたしなめるといったような抜群のコンビネーションを見せつけた。

この3人が不在となった今、「礼儀正しいキャラ」「野球が得意」などの個性がグループから消えたことになるわけで、やはり今残っているメンバーが各自新しい個性を発揮して魅力を補強していく必要がある。

 

しかし実は残ったのは人気上位メンバー

人気面ではどうだろうか。人気の指数は握手会の参加部数からある程度の推定が可能である。

(握手会は1部につき90分間が標準であり、休憩を挟みつつ1日でだいたい6~8部開催され、人気メンバーはフル出場となる)

山口派のメンバーが在籍していた時期の最後のシングルとなる「春はどこから来るのか?」の握手会販売状況データを見ると、

  • 本間日陽
  • 西潟茉莉奈(にしがた・まりな)
  • 荻野由佳

がトップ3を形成。

中井りかが5番手あたりの位置で、山口真帆は本間日陽の25部に対して14部と、トップクラスとの比較では約60%ほどの販売部数。

山口真帆を擁護していた長谷川・菅原・村雲の3人は共に9部となっている。

この数値から浮かび上がってくるのは、実は反山口派(ではないかと言われている)が握手会の売上に関しては高い貢献度を示している事実

事件当時、メディアやネットでは完全に山口派が正義というスタンスで報道されていたが、「収益」というグループ運営の核となる部分での優位性もあり反山口派の発言力が強かったと予想され、複雑なところではある。

 

ただ、山口派メンバーの集客力が仮に弱かったとしても、それ以上に事件の影響を受けて地元でのブランドイメージが失墜したことの経済的損失は大きいはず。

2019年1月、新潟商工会議所による新潟開港150周年記念動画にNGT48が起用されていたが、動画は非公開となり、また、水産加工メーカーの「一正蒲鉾」はNGT48が出演するCMの放送を見送った。

企業や地方自治体とのタイアップを打ち切られたのは地域密着型アイドルとしての根幹が揺らぐ事態である。

 

決して辞めたメンバーの分まで握手会を頑張っただけで帳消しにできるものではなく、残ったメンバーでイメージを回復していってほしいところだ。

 

TIF出演に対する賛否両論

東京・お台場で毎年夏に開催される、国内最大規模の野外アイドルフェスである「TOKYO IDOL FESTIVAL」(TIF)

2019年1月の新潟開港150周年イベント依頼、外部でのステージ出演が無かったNGT48だったが、TIF側からオファーを受け、2019年8月3日、「TIF2019」開催2日目スマイルガーデンへの出演が決定。

AKB48グループ合同のライブを除くと実に7ヶ月ぶりの外部イベントであり、結果的にはこのTIF2019から本格的に活動が再開されている

 

NGT48のTIF2019出演にはSNSでもファンの間から賛否両論の意見が飛び交い、

「事件の真相が完全に究明するまで出演すべきではない」

「劇場公演から再開するのが筋ではないか」

など否定的な声も目立った。

 

また、NGT48の出演は急遽決まったものと言われており、出演時間も午前9時10分。TIF開催期間中、毎朝行われるラジオ体操コーナーの前座という扱いである。

TOKYO IDOL FESTIVAL2019タイムテーブル2

画像引用:TIMETABLE|TOKYO IDOL FESTIVAL 2019

 

ネットニュース等では「4000人の観客が大歓声で迎え入れた」と報じられたが、ファンがSNSにアップした画像では若干盛り上がりに欠けた冷ややかな雰囲気が伝わっていたため、マスコミの捏造ではないかという批判も多く、NGT48にとっては厳しい再スタートとなった。

山口派のファンがステージ中の反山口派メンバーに対して暴言を吐くことも懸念されたため、観客も複雑な気持ちで見守るように眺めていたというのが実際の空気だったと伝えられている。

 

この日、NGT48は5曲を熱唱。「Maxとき315号」の前奏では奈良未遥が斜め上を見つめて涙を浮かべる瞬間もありながら、その直後に本間日陽がバレエ仕込みの綺麗なターンを決めてムードを塗り替えるなど、まさに全員で助け合うパフォーマンスで感動を誘った。

あくまで結果論でしかないが、TIFの運営が彼女達の

「ゼロから出直したい」

という意思を汲み取ったからこそ世間の反発を押しきってNGT48に出演オファーを出したわけであり、そこはTIF側の英断であったと言えるだろう。

 

 

荻野由佳と西潟茉莉奈を採用した柏木由紀・北原里英

少し話は逸れるが、そんな荻野由佳が第2回ドラフトでNGT48に入れたのは、当時発足したばかりのNGTにおけるたった2人の確定メンバー、柏木由紀(AKB48兼任)と北原里英(AKB48 5期生→NGT48元キャプテン)

(1期生の加入より第2回ドラフトが先に行われたため、便宜上まだNGTのメンバーは2人であった)

劇場支配人の今村氏と共にドラフト指名メンバーの選考を担当していた2人の好みも強く反映されていたのは間違いない。

 

特に柏木由紀はドラフト本番直前に行われた48グループ各チームリーダーによる合同会議で、

「美人で覚悟が決まっている子がほしい」

と名言していた。

一説には既に指名したいメンバーが決まっており、「美人」が1位指名の西潟茉莉奈、「覚悟が決まっている」がAKBグループ加入へ執念を見せる荻野由佳のことを暗示していたと言われている。

北原里英が卒業を表明したのは事件発覚前の2017年8月。

柏木由紀は事件の影響によるNGT48への批判がピークに達していた2019年4月に兼任解除。

ゆきりんに関しては事件の騒動から避難したという印象もあるが、元々東京での仕事がメインでNGT48冠番組への出演も少なく、メンバーともそこまで深く関わってなかったイメージがあり、自分自身の東京での仕事が忙しくなりすぎたというのがNGT48を離れた主な理由だろう。

 

柏木・北原の2人がおぎゆかというアイドルとして素晴らしい素材をドラフトで獲得できたことは今のNGTにとっても大きな財産となっているのは確かであり、西潟茉莉奈にしても安定した握手会上位人気メンバー。

ただ、おぎゆかも西潟も山口さん暴行事件後は人気が低下しており、2人の人気がどれだけ復活し、NGTを支えていけるかでグループの行方が変わってくると言えそうだ。

 

 

NGT48のカギを握るエースおぎゆか

失った人材は現存のメンバーで埋めていくしかないが、ピックアップしたいのが荻野由佳、通称「おぎゆか」。

全くの無名から速報1位となり一瞬にして全国的な知名度を獲得した2017年の総選挙や、山口さん暴行事件後にモデルとして起用された浴衣ブランドの不買運動など、センセーショナルな話題ばかりが先行してしまう彼女だが、血の滲むような努力で這い上がってきた苦労人でもある。

 

AKB48の15期生オーディションに仮合格するもセレクションと呼ばれる最終審査で落選。その後、期間限定プロジェクト「バイトAKB」の一員として劇場公演に参加。

2015年に第2回ドラフト会議の最終候補者に残り、2巡目でNGT48に指名され、48グループに入りたいという念願を叶えた。(ちなみに第1巡指名は西潟茉莉奈)。

AKBのオーデションを受け続けた経験を生かし、ドラフト合宿でも全力のパフォーマンスを披露した彼女はデビュー当初からアイドルとしての基礎的能力に優れていたが、NGT48加入後は更なる成長を遂げることになる。

現状、人気は変わらずトップクラスを保っているものの洗練潔白なイメージからは遠ざかってしまっているおぎゆかだが、彼女が本来の優れたパフォーマンス力を地道にアピールし続けることが、グループ全体の名誉を挽回するための鍵となるに違いない。

 

 

【まとめ】

NGT48の現状を考察してきたが、外部仕事もほとんど契約を白紙に戻され、コロナ禍により劇場公演すらままならない今の状況は、国内48グループの中で最も過酷な試練の時期を迎えていると言える。

中井りか・荻野由佳の2人とそれ以外のメンバーでは全国的知名度に雲泥の差があり、3番手の本間日陽ですら一般層への浸透度は低い。

本間日陽はクラシックバレエというビジュアル的にも分かりやすい特技があり、「がたフレ」でも野外でバレエを踊る場面があったが、華麗な身体捌きとエレガントなフォームはアイドル界でも屈指の実力であることは疑う余地もない。

現実問題として、まずは3番手の本間日陽の知名度をなんとかして底上げし、その間に中堅・若手メンバーが覚醒するのを待つのが今選択できる最善の策だろう。

 

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