新体制は指原莉乃を越えるか【HKT48】の現在・人気メンバーを分析

HKT48を象徴する存在といえば何といっても指原莉乃

2011年10月、平均年齢13.8歳というフレッシュな布陣でスタートしたHKT48に、文春スキャンダル事件の処遇という形で指原莉乃が移籍してきたのが2012年6月。

当時、東京での仕事にも頻繁に呼ばれていたSKE48松井珠理奈NMB48山本彩のように本店(AKB48)と直接的なパイプを持っていなかったHKT48。

指原莉乃と秋元康の強力なホットラインが開通したことにより、個々のメンバーの知名度を関東及び全国レベルにまで押し上げることができたのがグループ史上最大の成功要因といっていいだろう。

また、2013年4月からは劇場支配人を兼任し、尾崎支配人とのW支配人体制でマネージメント能力も発揮。

総選挙ではグループの議席数を1つでも増やす戦略を重視し、2016年には80位以内に19名を送り込み、先輩グループ・NMBの11議席を大きく上回る結果に。

更に最後の総選挙となる2018年、不参加を表明した指原莉乃は広報役に回ると、共に2001年生まれ、12歳での劇場デビュー時より未来のエース候補として育てられてきた矢吹奈子・田中美久の「なこみく」コンビを選抜入りさせるなど、グループを大勝利に導いた。

 

その指原莉乃が2019年4月をもってHKT48を卒業

2020年3月には指原莉乃とのW支配人体制を長年に渡って支え続けた尾崎支配人も退任となり、HKT48自体もAKS(48グループの母体組織)から独立。新会社「Mercury(マーキュリー)」が設立され、運営業務を引き継ぐこととなった。

つまり、指原&尾崎支配人時代を越えるクオリティーのプロデュース戦略をMercuryが打ち出していけるかどうかが、現状でのHKT48の課題であり、今後のポイントとなることは間違いない。

今回の記事では、指原統治下におけるHKT48の成長の過程を踏まえた上で、2020年4月以降の新体制に持ち越された問題点を分析していきたい。

 

指原を筆頭とする総選挙での圧倒的強さ

指原莉乃自身、3連覇という偉業を成し遂げたことからも分かる通り、HKT48は総選挙に滅法強い

これは指原莉乃ファンの中心年齢層が比較的高く、経済的余裕のある人間が多いことに起因しているのではないかと言われている。

更に指原莉乃が劇場支配人というプレイングマネージャーの立場にあるため、指原ファンを含むHKT48ファンが彼女の意図を汲み取って総選挙に協力的だったというのも大きい。

 

“なこみくコンビ” 矢吹奈子と田中美久

冒頭でも述べたが、2018年の総選挙では

  • 矢吹奈子(3期)10位
  • 田中美久(3期)9位

と「なこみく」コンビが揃って選抜にランクインした。

元々矢吹奈子は指原莉乃の握手会に足繁く通っていたほどの指原ファンであったため、指原も矢吹を寵愛しており、矢吹が指原にとっての筆頭舎弟的なポジションだったのは事実。

(2016年に公開されたドキュメンタリー映画でも指原と矢吹のツーショット対談があった一方で、田中実久1人にフォーカスを当てたシーンはない)

しかし、前年(2017年)の総選挙では田中美久28位に対して矢吹奈子37位と人気面で引き離されかけていた。

矢吹に対する贔屓目を抜きにしても、グループの戦略的にはなこみくコンビを足並み揃えて売り出したい狙いもあったと思うが、指原は自身のモバメ(ファン向けの有料メールマガジン)で矢吹奈子の良いところをアピールするという、投票誘導にならないギリギリのラインで矢吹の背中を押す作戦にでた感じがした。

ファンもそれを察したのだろう、3連覇達成後は既に総選挙を辞退していた指原の支持基盤票のうち、何割かが矢吹奈子に流れたと言われている。

 

宮脇咲良の起用法と総選挙での中堅メンバーの健闘

結成当時、HKT48は拠点的にも東京との距離感の遠さがネックになると思われていたが、それを解消したのが指原莉乃移籍以降における「宮脇咲良」の起用法だった。

宮脇咲良はHKT48の絶対的エースというイメージがあるが、意外にもシングル曲で単独センターを務めたことは一度もない。5枚目のシングル「12秒」で兒玉遥とのWセンターを担当したのを最後にセンター構想からは外されている。

 

HKT48歴代センター(+ボタンをタップすると一覧を表示します)
◆2013年
01 スキ!スキ!スキップ!田島芽瑠
02 メロンジュース田島芽瑠&朝長美桜
◆2014年
03 桜、みんなで食べた田島芽瑠&朝長美桜
04 控えめI love you !兒玉遥
◆2015年
05 12秒兒玉遥&宮脇咲良
06 しぇからしか!兒玉遥
◆2016年
07 74億分の1の君へ兒玉遥
08 最高かよ松岡はな
◆2017年
09 バグっていいじゃん指原莉乃
10 キスは待つしかないのでしょうか?松岡はな
◆2018年
11 早送りカレンダー田中美久&矢吹奈子
◆2019年
12 意志指原莉乃
◆2020年
13 3-2運上弘菜

 

ところが彼女はデビュー1年目にしてAKB48本体のシングル「UZA」の選抜に抜擢され、2年後の2014年には「希望的リフレイン」で渡辺麻友とのWセンターを任されることに。

非常に早い段階から

「HKT48のエース・宮脇咲良」よりも「48グループのエース・宮脇咲良」

というイメージを植え付けることによって、その当時からバラエティー番組で引っ張りだこだった指原莉乃と共に、HKT48の関東での影響力を連動的に底上げしていく戦略が見事に的中。

 

中堅メンバーも続々とランクインさせる

デビュー時点で18歳だったため伸びしろをあまり期待されず、ドキュメンタリー映画でも不人気メンバーの代表的な扱いを受けていたように見えた坂口理子(2期)が2015年に37位という大躍進を果たしたり、デビュー曲「スキ!スキ!スキップ!」以来選抜から完全に干され、総選挙も圏外続きだった下野由貴(1期)が2016年に初議席を獲得するなど、中堅層のメンバーを続々とランクインさせることで48グループ内での勢いを加速させていった。

指原ファンを中心とするHKT48の選対チームが敏腕だったのも当然あるが、指原や宮脇が全国区で活躍したことにより関東圏のファンの票を相当奪い取ったのではないかというのが有力な見解である。

 

魅力ある松岡・運上の知名度をどう上げるか?

宮脇やなこみくを全国区で積極的に露出させ、それが総選挙での好結果に繋がり、メンバーが全国放送の総選挙で名前を呼ばれることで更に知名度を上げていくという好循環を続けていたHKT48。

だが、2018年を最後に総選挙が休止となり、地方グループが全国レベルで注目される数少ないチャンスを喪失した形となった今、若手世代の売り出し方がかなり難しくなっているのが現状だ。

松岡はな

「バイトAKB」を経て第2回ドラフトでHKT48に加入した松岡はなは常に全力の笑顔と太陽のように明るく朗らかなパフォーマンススタイルを持ち味としており、彼女も指原莉乃にその個性的なキャラクターを見出された一人。

2016年7月「最高かよ」で兒玉遥や田島芽瑠、朝長美桜といった並み居るセンター候補を押しのけてセンターに選ばれる、異例の推されっぷりで注目を浴びた。

彼女は総選挙で2017年80位、2018年66位と着実に順位を上げ、もし総選挙が今も続いていたらシングル選抜ラインまで食い込んでくる可能性が十分にあったのだが、総選挙が無くなったことにより、全国放送で一瞬にしてブレイクするという近道が閉ざされたのは痛手である。

運上弘菜(うんじょうひろな)

2020年の最新シングル「3-2」で初センターを務めることになった運上弘菜は4期生の中でも飛び抜けて美しい顔立ちと、やや引っ込み思案でおとなしく「清楚」が服を着て歩いているようなオタ受け要素抜群のキャラで人気急上昇中。

北海道出身で、HKT48の加入初期は博多まで6時間かけてレッスンに通っていたというエピソードも話題性十分である。

「AKB48グループユニットじゃんけん大会2017」で荒巻美咲(3期)に誘われユニットを結成、見事優勝したのをきっかけに一気に知名度がアップしたのもスターならではの強運を持っていると言えるだろう。

「HKT48のおでかけ!」での4期生ロケ企画など節々の場面で見せる天然キャラを、これも指原やフット後藤などのイジりで魅力に変換させることができたのは指原の手柄でもある。

そんな運上弘菜も総選挙に関しては最後の2018年、84位にランクインしたのが最高実績。

とにかくTV画面に一瞬映るだけでも

「美人!」

と声が出るほどの顔面偏差値の高さを誇る彼女だけに、全国放送でカメラに抜かれる総選挙が行われない今の状況は、アイドルとしてピークの年齢に差し掛かっている彼女にとってみても辛いところだ。

 

総選挙に代わる宣伝ツールの模索

総選挙が開催されない今、松岡はなや運上弘菜といった強烈な美貌と個性を秘めたメンバーを最短ルートでブレイクさせるには、やはり

  • YouTube
  • TikTok
  • 配信アプリ

などのネットコンテンツをフル活用していくしかないのだが、そのYouTubeもフリートーク力のあるNMB48などに比べると単純に内容の面白さで物足りない部分はある。

 

HKT48 THE LIVE ~STUDIO LIVE SONG~

ここで2020年春よりHKT48の新運営会社となったMercuryが、どのようにして活動スタイルをアフターコロナ社会にアジャストさせていくかという手腕が問われるところだが、それに対するひとつの答えとなるのが先日(2020年7月5日)に行われた配信ライブ。

西日本新聞:「可能性を感じて」変わるHKT、再開ライブで見せた先を目指す意欲

レッスンスタジオの照明やレイアウトを配信仕様に施し、ファッション雑誌スタッフとの連携による衣装のコーディネートなど、オンラインコンテンツでは見過ごされがちな細部の演出にもこだわったライブは視聴したファンからも予想以上に好感触の評価を得た。

Mercuryの代表である前田治昌氏の発言にもあるように、オンラインでのレッスン体制も急ピッチで整備されつつあり、今後はファン向けの各種配信サービスも当然強化してくると見られるため、総選挙に代わる新たなアピールの場が必要な若手世代にとって希望が持てる状況なのは楽しみなところである。

 

IZ*ONE終了後の動向

2018年の4月から8月にかけて実施された、48グループと韓国テレビ局のタイアップ企画であるオーディション番組「PRODUCE 48」において、HKT48から参加していたメンバーのうち宮脇咲良と矢吹奈子が最終審査でのランキングで合格となり、新グループ「IZ*ONE」に加入することとなった。

このグループは2021年4月までの期間限定ユニットとなっており、現在、宮脇と矢吹の2人はIZ*ONEに専念するため、HKT48に関しては籍を置いたままの活動休止という形をとっている。

2人ともHKT48はもちろん48グループの未来を背負って立つ存在であることは言うまでもないのだが、問題はIZ*ONEの活動が終了した後、本当に予定通りHKT48に戻ってくるのかどうかだ。

SKE48 松井珠理奈との一幕

特に宮脇咲良に関しては、ワイドショーなどをよく観ている方ならご存知かとは思うが、2018年の最後となる総選挙で松井珠理奈との間に因縁を引きずる一悶着があった。

この記事でその話の詳細を語ると長くなりすぎるので簡潔にまとめると、総選挙当日、順位発表前のライブ編で松井珠理奈が宮脇咲良に

「ちゃんと踊って」

とパフォーマンス中に注意。

動揺した宮脇咲良はその後のライブを一部欠席。そして迎えた順位発表では松井珠理奈との一騎打ちと予想されていた宮脇咲良がまさかの3位で号泣。須田亜香里とのSKEワンツーフィニッシュを決めた松井珠理奈は、スピーチの檀上で宮脇咲良に抱きつき感謝の意を述べるが、この時既に宮脇咲良の表情が放心状態だった。

総選挙終了後の選抜メンバー撮影にも宮脇咲良の姿はなく、松井珠理奈への囲みインタビューで事の真相が明かされたというのが一連の経緯である。

また、ニュースサイトの記事には当日の松井珠理奈の言動に対して指原莉乃が注意したという話も出ており、SKE48とHKT48の関係性は現在でもあまり良好でないというのが個人的な分析である。

さらに2020年4月に都築里佳(SKE48 4期生)がHKT48に対し不適切なツイートをしてしまい火に油を注いでしまった。

 

総選挙事件の2ヶ月後にIZ*ONEのメンバーに選ばれ、日本を離れることになった宮脇咲良だが、このような事実関係から考えてみても、48グループでの活動に愛想をつかしている可能性もある。

宮脇咲良が戻ってくるかこないかで来年以降におけるHKT48の活動方針やフォーメーション構成は全く変わってくるため、彼女の動向が非常に重要となってくるのは確か

 

 

いずれにせよHKT48・AKBグループを引っ張ってくれることを期待

ただ、2019年4月、横浜スタジアムでの指原莉乃卒業コンサートでは宮脇咲良と矢吹奈子がVTRでお祝いのメッセージを送っており、少なくともHKT48と指原莉乃に対する思いは今でも忘れていないと考えられる。

矢吹奈子に関しては、なこみくコンビが一旦離れ離れになったことにより、どちらかと言えば田中美久のほうにプラスの影響をもたらしたのではないか、という印象が強い。

デビューからずっとライバルとして並び称されていたプレッシャーから解放され、田中美久本来の無邪気で伸び伸びとした魅力が再び息を吹き返したのかもしれないが、2020年に入ってからTV番組のパフォーマンスで見せる笑顔がかなり柔らかくなったような気がする。

 

ただ、だからといって矢吹奈子が影るというわけではなく、逆に矢吹奈子が戻ってくることによって2人の特性を上手く生かした仕事の振り分けができるようになればお互いに効率のよい活動が可能になるはず。

将来的にはなこみくが車の両輪となってHKT48およびAKBグループを引っ張って行ってくれることを指原莉乃も強く願っているだろう。

 

まとめ

HKT48の現状を考察してきたが、このグループに関しては今もなお指原莉乃が強い決定権を持っている。2020年秋にオープンが予定されている新専用劇場用の公演セットリストも指原莉乃が手掛けるようだ。

指原莉乃がHKT48メンバーの個々のキャラクターを引き出し、適材適所のマネージメントでHKT48を成長させていった功績は確かに偉大である。

 

だが、それに慣れてしまい、指原のイジりなしで自発的にアピールしていく発信力の鍛錬を怠った面もあり、若手世代のみならず初期からのメンバーもやや存在が弱まっているのは否めない。

指原莉乃のプロデュース力があまりにも有能だったために起こるべくして起こった副作用とも言えるので、そのあたりも現状の大きな課題である。

現役の正規メンバーで唯一別事務所に所属している村重杏奈あたりが単発でTV番組に出演して積極的に笑いをとるなど、指原莉乃の力を借りずに前に前に出ていく意欲を見せているのも他のメンバーも続いてほしいところだ。